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高血圧症のこと

血圧ってなに?

血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の壁を押す圧力のことで、ポンプの役割のような心臓の流れに合わせて、血管が収縮と拡張を自動的に繰り返します。心臓がぎゅっと縮むことで大量の血液が送り出され、血管に大きな圧力がかかる状態を「収縮期血圧/最高血圧=上の血圧」といいます。反対に、心臓が広がり血液の流れがゆるやかになり血管にかかる圧力は低くなる状態を「拡張期血圧/最低血圧=下の血圧」といいます。

血圧は絶えず変動していて、運動、入浴、食事、飲酒や、人前で緊張すると、血圧はすぐ上がります。座ったり横になったりする安静の状態や睡眠中は下がります。このように一時的に血圧が上がる高血圧の状態と、病気の高血圧症とは違います。

高血圧と高血圧症は違います

高血圧とは、一時的に血圧が高くなったり、血圧が上がりやすい環境に身を置いている状態のことで、この高血圧の状態が日常的に長く続くと高血圧症になりやすくなります。

高血圧症が具体的にどんなものかというと、血管そのものが劣化、もしくは血管の通り道が狭くなったり詰まったりして、血管内部の圧力が常に上昇している状態のことです。高血圧症が発症していると、動脈硬化の合併の可能性が高いというわけです。また、ガンにより高血圧症になる場合もあります。

めまい、動悸、息切れ、貧血、不整脈など、高血圧症が原因となって起こる症状です。また高血圧症は、血液の流れに障害が起こっている状態なので、身体に十分な酸素と栄養分が行き渡らないため、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)や心疾患(心筋梗塞、狭心症など)などの合併症が起こるリスクが高くなります。また早期発見が難しい慢性腎臓病にもつながります。

怖いのは、高血圧症は自覚症状がないままに進行し、ある日突然に合併症に襲われるので、他の生活習慣病の糖尿病、高脂質症と共に別名サイレント・キラー(沈黙の暗殺者)と呼ばれています。

塩分の摂り過ぎには要注意

高血圧の最大の原因は、食塩摂取量の多さです。2012年時点での成人1日の食塩摂取量は男性11.3g、女性9gです。減塩ブームといわれていますが、世界保健機構(WHO)が推奨する1日6g未満をクリアしていません。

一概に「食塩」といいますが、血圧を上げる物質はナトリウムで、食塩の約40%がナトリウム量に相当します。

栄養成分表示には、食塩相当量やナトリウムと記載されているので、意識してチェックしてみてください。食塩相当量gは、ナトリウム量mg×2.54÷1000という計算方法で算出できるため、ナトリウムを1日約2.4g未満の食事になるよう減塩に努めてみて下さい。

そして、メタボリック・シンドロームも高血圧の原因のひとつです。内臓脂肪型肥満で、インスリンの働きが悪くなると(インスリン抵抗性)、膵臓から大量のインスリンが分泌します。インスリンは腎臓からの塩分(ナトリウム)の排泄を妨げる作用があり、血液中の塩分濃度が上昇し血圧が上がります。また腎臓に負担をかけることになります。

血圧は高齢になるほど高くなる傾向がありますが、遺伝的に高血圧になりやすい体質を持っている人がいます。家族で高血圧の人がいる場合、高血圧になりやすい体質だと認識し、食事、飲酒、喫煙などの生活習慣にも気をつけましょう。

糖質制限で、低糖質のハム、ソーセージなどの加工食品、肉・魚(干しものなど)料理や外食は、どうしても塩分摂取量が高くなるので、糖質だけでなく食塩量(ナトリウム量)にも注意をしてください。

高血圧の診断基準

分 類 収縮期血圧
(最高血圧)
拡張期血圧
(最低血圧)
指摘血圧
(理想血圧)
<120 かつ <80
正常血圧 <120~129 かつ < 80~84
正常高値血圧 130~139 または 85~89
I度高血圧 140~159 または 90~99
II度高血圧 160~179 または 100~109
III度高血圧 ≧180 または ≧110

参考:日本血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2014」

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