食後の血糖値の上昇をおさえ、肥満と糖尿病を予防し、さらに、老化も防止するという不思議な2つの希少糖(Rare Sugar)のお話です。
希少糖は、自然界にわずか1%も存在していない単糖(糖の最小単位)ですが、同じ単糖類のぶどう糖のようにエネルギーにはならないので、生物にとっては必要のない“落ちこぼれ糖” と揶揄されていました。
ところが、今から30年以上前、香川大学農学部の何森 健(いずもりけん)教授は「存在するからには何か役割がある。」と、当時名前すら知られていないマイナー単糖に着目し研究をはじめました。
1991年、何森教授チームは、キャンパス内食堂裏の土中から新しい酵素DTEを発見。その新酵素DTEにより、果糖から希少糖D-プシコースを、世界ではじめてつくることに成功したのです。
さらに、自然界に存在する約50種類の希少糖すべてをつくりだす方法を発見し大量生産を可能にしました。
その後、希少糖の研究開発は、国、自治体のバックアップをもとに、香川大学と松谷化学工業で続けられ、希少糖D-プシコースの生理機能が証明されました。
何森教授が、”希少な存在の糖”として名付けた希少糖の中で、今、世界が注目している希少糖D-プシコースと、現在研究が進んでいる希少糖D-アロースの生理機能をみてみましょう。
希少糖D-プシコースは、血糖値を上げるぶどう糖となるでんぷんなどの分解をおさえるだけでなく、吸収量もおさえる、ダブル抑制の機能をもっています。
分解抑制:摂取された砂糖やでんぷんなどが、ぶどう糖などの単糖に分解されるための消化酵素の働きをおさえるので、吸収されるぶどう糖量が減ります。
吸収抑制:ぶどう糖を吸収する腸壁に先回りして、小腸からぶどう糖が吸収されるのをブロックします。
このダブル抑制のおかげで、糖質の多い食品を摂取しても、食後の血糖値の上昇がおだやかになります。
血糖値を下げるインスリンは、“太るホルモン”ともいわれ、余った糖を内臓脂肪として蓄積します。
しかし、血糖値がおだやかに上昇するので、インスリンは多量に分泌されません。よって、余る糖が少ないことと併せて、内臓脂肪の蓄積がおさえられます。
糖質の多い食品を過剰に摂ることを繰り返すと、インスリン分泌が続き、インスリンを分泌している膵臓が疲弊して、インスリンが正常に分泌しない高血糖状態になります。
高血糖状態が続くと、血管が傷つき、血液がドロドロになり詰まってきます。こうして動脈硬化が進行します。さらに、この高血糖状態が、糖尿病などの生活習慣病を発症させます。
希少糖D-プシコースの生理機能により、高血糖状態になりにくい状態となり、動脈硬化の進行がおさえられ、糖尿病などの生活習慣病予防にもつながるのです。
※ 学ぶに記載されている肥満のこと、糖尿病のこと、動脈硬化のことを併せてご一読下さい。
単糖なのに、摂取しても血糖値は上がりません。
逆にごはんやパンなどの炭水化物や、砂糖を使用した甘いものと一緒に食べると、それらの糖質吸収をブロックして、血糖値の上昇をおさえるという不思議な糖なのです。
さらに、身体の中で脂肪を合成する酵素の働きをおさえる作用があることもわかってきました。
希少糖D-プシコースは、まさに太りにくい糖なのです。
香川大学医学部附属病院では、希少糖D-プシコースを2型糖尿病の患者さんに用いる臨床試験を行っています。将来的には、医療分野での活用も期待されています。
希少糖D-アロースは、まだ研究段階ですが、活性酸素の発生をおさえ、老化を防止する抗酸化作用をもつことがわかってきました。
ところで、人の老化の原因のひとつといわれる活性酸素とは、何でしょうか。
身体に取り入れた酸素の約2%が、強い酸化作用をもつ活性酸素に変わるといわれています。活性酸素は、本来ウイルスや細菌を退治する大切な役割がありますが、増えすぎると健康な細胞まで酸化して傷つけます。活性酸素は、老化を進ませるだけでなく、細胞の核の遺伝子が傷つき細胞変異からガンへ、また動脈硬化を加速させて血管の老化を促進します。
活性酸素を発生させる原因は、呼吸だけではありません。
紫外線、大気汚染、電磁波、食品添加物などの化学物質、酸化した食べ物、アルコール、タバコ、ストレス、睡眠不足、激しい運動などがわかっています。
この活性酸素の攻撃から身を守ってくれるのが、抗酸化作用です。
もともと身体の中には抗酸化力が備わっていますが、加齢とともに衰えてきます。そこで、体外から抗酸化作用のある物質を補い、抗酸化力を高めることが大切です。
ビタミンCや赤ワインなどに含まれるポリフェノールは、抗酸化作用がある物質としておなじみです。
希少糖D-アロースも、すぐれた抗酸化作用の機能を持っています。
希少糖D-アロースの注目すべき点は、ビタミンCやポリフェノールは過剰な活性酸素を除去するだけですが、活性酸素の発生自体をおさえる働きがあります。ただ、現時点ではその効果がわかっていますが、そのメカニズムはまだ判明されていません。
やせたいけれど、ごはん、パン、甘いものを控えるのは無理!とあきらめメタボリアンだけでなく、アンチエイジングを目指している女性にも、希少糖はうれしい甘味料です。
希少糖を15%含有したシロップ状甘味料レアシュガースウィートを、Shoppingでご紹介しています。併せてご一読下さい。
お詫び 〈2016年6月24日付〉
レアシュガースウィートの糖質に関して、「希少糖の効果で血糖値はゆるやかに上がる。」というメーカーの説明により糖質制限向き甘味料として以下の記事を掲載しましたが、糖質制限推奨医師により「希少糖は評価できるが、レアシュガースウィートは希少糖だけでなく、ブドウ糖、果糖などが含まれているので、血糖値は上がります。よって、糖質制限ではNG食品ではないか。」との指摘を受けました。糖尿病の方、スーパー糖質制限(1日の糖質量30g~60g)を実施されている方には、レアシュガースウィートをお奨めしません。