腸内環境を整え免疫力を高めてくれるから。おなかが空いたときには無糖ヨーグルト。と、糖質制限中、ヨーグルトを食べている方は多いのではないでしょうか。
しかし、「無糖」「プレーン」表示でも糖質が多いヨーグルトもあるので、購入する際は表示に頼らず必ず栄養成分表示で糖質(炭水化物)チェックが必要です。
今回、スーパーなどで販売している〈雪印、明治、ヤクルト、ダノン、小岩井、カゴメ、チチヤス、森永、グリコ、イオン〉のヨーグルトで糖質量5g未満を基準に選びました。善玉菌の種類と効果は参考にして下さい。
原材料が、りんご果汁、大豆飲料と、漬け物のすぐきから発見された植物性のラブレ乳酸菌なので、糖質の多い牛乳からつくられる一般のヨーグルトと比べると、かなり低糖です。
植物性乳酸菌は一般に動物性乳酸菌よりも強く、胃酸に耐えて腸内で活発に活動し、免疫力を強化するそうです。
甘さを控えたさっぱりした味です。1本が80mlなので、男性にはちょっと物足りない量かもしれません。
ラブレ菌
植物性乳酸菌で、一般に動物性乳酸菌よりも強く、胃酸に耐えて腸内で活発に活動します。ラブレ菌は、免疫細胞のNK細胞を活性化させるインターフェロンαの生産をサポートするので、結果的に、免疫力を高め、がんや感染症の予防につながります。
栄養成分表示がわかりにくいので、雪印に問い合わせてみたところ、
炭水化物4.8gは、糖質4.8gのことです。糖類3.8gは、乳糖のことで糖質の中に分類されます。糖質4.8g-糖類3.8g=1gは、甘味料スクラロースです。
乳糖3.8gは血糖値を上げ、スクラロース1gは血糖値を上げないので、注意すべき糖質は3.8gとなります。
10億のガセリ菌SP株入りヨーグルトは、ナチュラル・ヨーグルトらしい味ではないので、好みの差がでるかもしれません。
ガセリ菌SP株
プロバイオティクス乳酸菌です。2001年世界で初めて人の腸に生きて届き長くとどまる善玉菌として科学的に確認されました。内臓脂肪を減らす効果が認められています。また、免疫力を高める働き、悪玉菌クロストリジウムを減らすことも確かめられました。
日本のメーカーではじめて生乳100%使用のヨーグルトを開発。安定剤不使用、じっくり発酵、最適なねばりを追求したこだわりが、上品な味やそのなめらかさに出ています。
特定保健用食品に認可されたビフィズス菌BB-12株を使用しています。
ビフィズスBB-12菌(ビフィドバクテリウム・ラクティスBB-12)
プロバイオティクス乳酸菌で、胃酸、胆汁酸にも耐えて生きたまま大腸に届くタイプです。乳酸菌の中でも特に免疫力を高める力が強い乳酸菌です。
なめらかというよりねばりのあるヨーグルトで、3回ほどかき混ぜるとねばりが増してとろりとした状態になります(混ぜすぎるとねばりは弱くなります)。このねばりにより酸味もほのかな味わいとして楽しめます。
発酵の際につくられるねばり成分EPSは、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする可能性があるようです。
乳酸菌クレモリス菌FC株を使用しています。
乳酸菌クレモリス菌FC株
生きて大腸まで届くプロバイオティクス乳酸菌です。ねばり成分EPSを生産します。
リンク:「カスビ海ヨーグルト」研究会
カスピ海ヨーグルトはねばりが強いので、食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能が衰えている方が、誤って食べ物が気管にはいる誤嚥(ごえん)が起こりにくい食品として適しているようです。
原材料に生乳100%のみを使用しているだけあり、コクのある味わいです。酸味も少なくなめらかな食感です。イオン、ダイエーで購入できます。お徳用なので食べ過ぎないよう分量には注意を払って下さい。
プロバイオティクス乳酸菌(ビフィズス菌、アシドフィルス菌)、サーモフィルス菌、ブルガリスク菌などを使用しています。
ビフィズス菌
大腸に存在する代表的な善玉菌です。悪玉菌を抑えて腸内環境を整えます。
通常、口から摂取したビフィズス菌は胃酸や胆汁酸で死滅するのですが、使用されているビフィズス菌は生きたまま大腸に届くタイプです。
アシドフィルス菌
熱や酸に強く、腸内環境を整え、免疫力を高め、口臭を改善します。
サーモフィルス菌 ブルガリスク菌
ヨーグルトを作るときに使用される酪農乳酸菌です。胃酸で死滅するので生きて腸まで届きません。
内科・漢方専門医として、糖尿病治療に糖質制限食事法を取り入れている吉田内科クリニック(兵庫県芦屋市)の吉田光範院長に、お薦めヨーグルトを聞いてみました。
吉田先生のいちおしヨーグルトは、価格が少し高めでも品質のよい牛乳を選び、自分でつくるカスピ海ヨーグルトです。
カスピ海ヨーグルトは、種菌、牛乳、ふた付きガラス容器があればつくれます。つくり方はインターネットで検索してご覧下さい。また、常温(20~30℃)で発酵しますが、冬の温度管理などが面倒という方は、ヨーグルト・メーカーがありますので、お使いになるのも良いかもしれません。
ここでひとつ、吉田先生からの注意事項です。
糖尿病の方、メタボリック・シンドロームの方は「牛乳のがぶ飲みは、絶対にしないで下さい!」
吉田先生から伺った 役立つ糖質制限アドバイス もご一読下さい。
吉田先生も指摘されていますが、「砂糖不使用」「プレーン」「砂糖ゼロ」「低糖」「低糖〇〇%カット」「糖質オフ」などの商品表示があります。栄養成分表示で糖質量(≑炭水化物)をチェックすると、実際には糖質が多いヨーグルトが多々あります。
一例を挙げてみましょう。
栄養成分表示をチェックすると、ショ糖(=砂糖)は0gなので、確かに「砂糖不使用」です。また「プレーン」の商品表示は「何も入っていない」ヨーグルトを連想させます。
しかし栄養成分表示の別項目にある「炭水化物」には4.3gと明記されています。つまり糖質が4.3gあるヨーグルトということです。
こちらも、栄養成分表示のショ糖=砂糖は0gなので、確かに砂糖はゼロです。しかし栄養成分表示の「糖質」は10.6gと明記されています。明治に確認した所、これは乳糖だそうです。乳糖は糖類の仲間で血糖値を上昇させます。
「低糖」「糖質〇〇%カット」「糖質オフ」という表示は、特に注意が必要です。「低糖」「糖質オフ」の基準はあいまいです。「糖質を〇〇%カット」もたいがい自社商品との比較になっているので、対象商品の糖質が多ければ、たとえ50%カットされていても糖質が多い品ということです。
購入する際には、商品表示を鵜呑みにせず、栄養成分表示をかならずチェックしてみて下さい。
今回選んだヨーグルトは、生きたまま腸へ届く善玉菌をもつタイプですが、乳酸菌の中には胃酸に弱いものあるので、胃酸で死滅させないために食事と一緒または食後に摂ることをお薦めします。
グリコ乳業の研究によると、お腹の調子を整えようと考えてヨーグルトを食べる場合は、朝食後に食べるのが最も効果的だそうです。ただし糖尿病の方は、夜の摂取は控えて下さい。
ヨーグルトの主成分の乳糖は、他の糖質よりも血糖値を上げにくいので、1日100g程度のヨーグルト摂取はOKのようです。
糖質量を考え、腸内に効果のある善玉菌を選びながら、一定量を定期的に摂ることが腸内環境を整えることにつながります。糖質が気になる方、ヨーグルトを食べる時間がない方は、善玉菌のサプリメントを活用するのも良いかもしれません。
ヨーグルトのなめらかさとおいしさがグンとアップする食べる前の裏技です。これは、酪農王国デンマークの友人に教えてもらいました。
・フタを開ける前に、カップごと上下によく振る。
・お得サイズのヨーグルトの場合は、器に入れたヨーグルトをスプーンなどでよくかき混ぜる。
たったこれだけですが、驚くほど味が変わります。是非お試しください。