糖質の多い食品を食べると、食後1時間で血糖値が正常値(60~110mg/dl未満)から一気に140以上になる怖い血糖値急上昇が、健常人や痩せている人でも起こることがわかってきました。
この食後の血糖値と空腹時の血糖値の差が大きいことを血糖値スパイク(グルコース・スパイク、ブドウ糖スパイク) と呼び、現在、日本人の140万人が血糖値スパイクの可能性があるらしいのです。
さらに、140以上になる血糖値スパイクの起こる回数が多いほど、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、認知症、癌のリスクを高めることもわかってきました。
先日、NHKあさイチで放送された「血糖値スパイク」特集で、健常人の女性に、おにぎり2個、果汁入り野菜ジュースコップ1杯を摂ってもらい、食後1時間の血糖値を測定した所、20名中9名の血糖値が140以上になりました。
皆さんがよく召し上がるおにぎりと野菜ジュースは糖質の多い食品で、この実験で被験者が摂取した推定糖質は、おにぎり(こんぶ入り)39.1gX2個=78.2g=角砂糖19.6個分、ジュース14.7g=角砂糖3.7個分、総糖質量92.9g=角砂糖23.25個分もある糖質過多の食事です。
血糖値を上げる糖質の多い食品を摂れば、当然血糖値は上がります。つまり、普段当たり前に食べてる食事は糖質過多であり、毎食血糖値スパイクが起きている可能性があるのです。
「まさか~!自分に血糖値スパイク(空腹時93→食後1時間176)が起きていたなんて!」とショックを受けていた40代(らしき)女性被験者は、毎食が糖質の多い食品(赤字)ばかりでした。
翌朝、起床して直ぐに(空腹時に)、 メロンとクラッカーを摂取し、さらに、朝食後には、 ミカン → バームクーヘン → クラッカー → バナナ と、糖質の多い食品を継続的に摂っていました。
このような食事ですと、いつも高血糖状態なので血糖値を下げるために膵臓から絶えずインスリンが分泌され続けます。その結果、いつか膵臓が疲弊してしまい糖尿病予備群となります。それだけなく、高血糖スパイクが起こりやすくなります。
人にも休息が必要なように、糖質づけの食生活で激務の膵臓も休息が(糖質を摂らない)必要です。
血糖値スパイクは、健康診断で空腹時に行われる血糖値検査では見つかりません。糖尿病患者でもない限り、空腹時/食後の血糖値を自分で測定しないでしょうから、健常人には血糖値スパイクの可能性は他人事だったと思います。
糖質制限推進派の医療関係者も健常人にも起こる血糖値スパイクを問題視し、糖質の多い食品、糖質の少ない食品で、空腹時と食後の血糖値測定を実施して下さいました。
糖質づけだった医師の告白に掲載されている花岡医師は、39歳の時に糖尿病を発病しました。しかし糖質制限により血糖値のコントロールができるので、一度も糖尿病の薬は服用していないそうです。
糖質の多い食品は食後約1時間で血糖値が急上昇しますが、糖質の少ない食品はほとんど上昇しないことがよく分かります。意外な結果だったのは、糖質の少ないLowsonのブランパンで血糖値が上昇したことです。
MEC食派の田中亜矢子医師は、普段ごはんを全く食べませんが、3日間塩おにぎり2個を、夕食には普段通りMEC食を摂り、血糖値&ケトン体値を測定して下さいました。
※ 数値は「血糖値/ケトン体値」で表示しています。ケトン体値は食後150分以上たつと一定になるので血糖値のみを表示しています。
※ 栄養成分表示は炭水化物(糖質=炭水化物-食物繊維)なので、糖質は若干この数字より少ないと思われます。尚、メーカーにより総重量のおける炭水化物量が異なるので炭水化物を同量にしました。
かつての”おにぎり愛”が復活したらという不安を持ちながら、久しぶりに食べたおにぎりは、美味しくなく食べるのが苦痛だったそうです。
花岡医師は血糖値が上昇しても体への反応が出ないのですが、田中医師は、動悸、眠気、頭痛などに襲われました。糖質をほとんど摂らない食生活を続けている人が、たまに糖質を摂ると、このような症状が出る場合があるようです。
食後に軽い運動をすることにより血糖値上昇がどの位抑えられるか、2回目の検査は食後10分後に3時間の窓ふき、サッシの掃除、カーテンの洗濯、掃除機をかける掃除が入っています。かなり重労働だったということです。確かに、運動をすることで、血糖値上昇が抑えられています。
一方、3回目の検査では、筋肉量が最も多い下肢を使う運動を30分間行いましたが、予想と反し、食後の血糖値は急上昇しました。
健常人でも、たった2つのおにぎりを食べただけで、空腹時94だった血糖値が、食後1時間半で204まで上がりました。「一番コワイのは、空腹時の診断基準から言えば、私は正常と診断されることです。」と田中医師は警告しています。
おにぎり測定日と別日2日間、起床後からコーヒーのみで、夕方に補食(チーズ、ナッツ等)を、21時ごろから糖質の少ないMEC食(肉・卵・チーズ)を食べ、血糖値とケトン体値を測定しました。
糖質を極度に控え+高カロリーのMEC食では、食後血糖値はほとんど上昇していません。
糖尿病の今までの食事療法ではカロリーを制限するので、田中医師が摂ったMEC食はカロリー過多となり完全なNGです。ところが、実際にはカロリーの高い食事を摂っても血糖値は上がらないことが数値から見て取れます。
尚、田中医師は超低糖食生活(糖質摂取量30g以下/日)なので、完全に《ケトン体代謝体質》です。よって、普段はケトン体値が高いのですが、糖質摂取によりブドウ糖代謝に切り替わりケトン体値は下降、逆にMEC食ではケトン体値が800以上を維持しているのがわかります。
逸見歯科医師は、日頃取っている糖質の多い食品が入った食事で測定して下さいました。
小腸での吸収率が遅くなる食物繊維が豊富な玄米とむかごですが、食後わずか1時間で血糖値200と急上昇しています。
ごはん抜きでも、食後の血糖値は上昇したので、同じトンカツ定食で糖質上昇の原因と想定される根菜のおかずを抜いて測定してみました。
糖質量は1回目のトンカツ定食より低いのですが、食後わずか30分で血糖値が182と急激に上昇しています。
衣に使用する小麦粉とパン粉(でんぷん)は、同じ糖質の多い根菜よりも血糖値上昇に影響があるのでは、と被験者全員の意見です。
アイスクリームに含まれる脂質のためか、血糖値の急上昇は少し抑えられています。
葉もの野菜の食物繊維のおかげか、糖質の多いパンを食べても血糖値の急上昇は見られませんでした。
今回の血糖値測定で使用された測定器です。
糖尿人の花岡医師は、2週間装着したまま血糖値を継続的に測定できるアボット社CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続性血糖測定器)”Free Style Libre(フリー・スタイル・リブレ)” を使用し、毎日自身の体で食品による血糖値変化のデータを記録しています。
”Free Style Libre” は、血糖値を測る度に針の痛みを伴うことがないので糖尿人には嬉しい器機となると思います。日本でも、2016年12月(今年)医療向けに発売されました。
※一般販売に関しては詳細な情報がわかり次第お伝えします。
田中医師が使用している”Free Style Optium”は、測定の度に針を指先に刺すタイプです。血糖値とケトン体値が測定できます。
ウェブ:SMPGサポート で購入可能です。
逸見歯科医師が使用している”iHealth”は、日本では販売されていません。糖尿病大国の米国らしく空港でスマホのアクセサリーとして普通に販売されていたので購入したそうです。
さて、危険な高血糖スパイクは、糖質の多い食事を摂ると誰にでも起こる可能性がある!と、今回の測定でも(仮)実証されました。
これからもPocorinでは、医療関係者の協力のもと食品別の空腹時/食後血糖値測定を継続的に実施し、みなさまに情報をお届けしたいと思っております。